連載コラム Vol.353

2019年ハーヴェストレポート 番外編

2019年10月10日号

Written by 黒川 信治

2019年のハーヴェストも佳境を迎えているが、現地でワイン造りに加わっている大塚食品の醸造家 黒川信治からレポートの「番外編」が届いた。気がかりな計画停電がそのテーマである。

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日本では今週末も大型の台風の通過が予想されていると聞く。昔と違って最近は、大型台風の接近に備え、各種交通機関は事前に運休を告げるパターンが一般化した模様。
こちらカリフォルニアでは、昨日から今週末にかけて乾燥した空気の中、強風の恐れがあるとの予報に合わせて、電力供給会社であるPG&E社が電力の供給を止めるという事態が発生している。詳細は不明だが、少なくともニュースによれば、サンフランシスコの北にあるサウサリート、ナパやソノマ群でパワー・シャットダウンが行われたエリアがあるようである。

モンテベロも昨日、22時から10時まで12時間電気の供給が止められると予告があったが、一日順延という話になっている。PG&Eからは本日も個別の電話があり、12時から停電するかもしれないような、音声メッセージが流れた。今は12:54だが電気の供給は止まっていない。

ワイナリーにはジェネレーターがあり、対応可能であるがガソリンが必要となる。
ガソリンスタンドも電気が来ないと稼働しないので、客数が増えている。なぜかガソリン代は、高くなっている気もする。

詳細は定かではないが、2017年、2018年と続けて起きた山火事の原因が電線のショートではないかという事より、強風による火災発生を恐れて事前に電気を止める。というのが、この出来事の理由のようである。

停電になると信号が消える。ホテルのドアは今ではカード式である。携帯をはじめ身の回りは充電しないと動かないものが多い。長時間の停電は冷蔵庫の中も心配である。
電気無しでは生きにくい世の中である。停電時になったら、どうなるのか、異国にいる分、情報が十分で確保できない分、心配が尽きない。

ナパでは、風が無いのになぜ、パワーがシャットダウンされた。というニュースも見られたようである。
今週から来週がモンテベロのブドウの収穫もピークを迎えようとしている最中の出来事であるが、どうなることか成り行きを見守りたい。

2019年10月10日
黒川信治

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