Written by 立花 峰夫
イギリスの超高級ワインの二次取引市場Liv-exが、このほど2019年版の格付けを発表した。もともと、Liv-exは、有名なボルドー左岸のシャトー格付けの現代版を2009年から2年おきに作成・発表しているのだが、2017年からは世界中の超高級ワインにその範囲を広げ、1級〜5級に分類する格付けを行っている。
この格付けの特徴は、1855年のボルドー左岸のシャトー格付けと同じく、取引価格に応じてランクを決めるというものである。かつては、超高級ワインの二次販売といえばもっぱらボルドーだったが、2010年代に入ってからは、ブルゴーニュの希少銘柄(DRC、ルロワなど)が台頭し、またアメリカ合衆国、イタリア、スペインなどのトップ銘柄もLiv-ex上で盛んに取引されるようになってきた。格付けの範囲が全世界に広がったのには、そうした背景がある。今回発表された2019年の格付けに含まれた国は、9か国(フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ポルトガル、アメリカ合衆国、チリ、アルゼンチン、オーストラリア)の合計349銘柄。これを2018年一年間の平均取引価格に応じて1級から5級に分類している。
今回、アメリカ合衆国からランクインしたのは以下の10銘柄。2017年の格付けではスクリーミング・イーグル、オーパス・ワン、ドミナスの3銘柄だけだったから、大幅に銘柄数が増加したことになる。リッジのモンテベロは10銘柄の中の最後に新たに入り、2級に格付けされている。リッジ以外はすべてナパ・ヴァレーのカベルネだ。以下のリストの価格(ポンド建て)は、750mlのレギュラーボトル12本の価格である。
Screaming Eagle, Cabernet Sauvignon | 1級 | £26,147 |
Harlan Estate | 1級 | £8,139 |
Scarecrow, Cabernet Sauvignon | 1級 | £5,733 |
Colgin, IX Estate | 1級 | £4,817 |
Opus One | 2級 | £2,833 |
Verite, Joie | 2級 | £2,425 |
Dominus | 2級 | £1,818 |
Continuum, Proprietary Red | 2級 | £1,705 |
Joseph Phelps, Insignia | 2級 | £1,451 |
Ridge, Monte Bello Red | 2級 | £1,288 |
ここで注意したいのは、この格付けが味わいの評価ではなく、純粋に取引価格だけで決められていることだ。リッジは、「一般のワイン愛好家が、購入できる値段でワインを売りたい」という確固たるポリシーのもと、ナパのワイナリー(特にカルト・ワイン)のように、「売れる限りにおいて、できるだけ高い値段で売る」という方針での値付けをしていない。よって、上記リストでは10位に甘んじているものの、その味わいの純粋な評価では、上位の銘柄にも決して負けていないことを強調しておくべきだろう。