連載コラム Vol.320

ジョン・オルニーとの会話 その2

2018年1月4日号

Written by 立花 峰夫

以下は、リッジの地方販売部長であるダン・バックラーが行った、リットン・スプリングス・ワイナリーの醸造責任者ジョン・オルニーへのインタヴューである(全3回中の第2回)。

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我が人生最良のときといえば、フランスで過ごした歳月になるね。まだ20代で、独身で、ワインの世界としっかりつながっていた。優れたシェフの手になる料理を食べ、今ならとても買えないようなワインを飲み、それも造り手とともに愉しんだんだから。

100年後の世界にタイムトラベルができるなら、つまらないことで人々が争わなくなっていて、もっと協力しあうようになっている様子が見たいと思う。

子供の親として最も難しいのは、イエス/ノーを言わないといけないのに、その判断が正しいのかどうか、決して確信がもてないということさ。分かれ道がきたら、その両方に歩みを進めることはできなくて、どちらかを選ばないといけない。

高潔さ、正直さ、ユーモアのセンス、自分について大げさに語らないこと。尊敬すべき資質とはこうしたことで、友人にはそれを求めているよ。

人がどう考えているかを知ることなんてできないさ。自分について問題視されていることのうち、人々があえて語らないがために知り得ない事柄は、とても多いんだ。

一番ストレスを感じる時間帯は朝だね。目覚めると、自分がしないといけないこと、昨日できなかったことがいっきに頭に押し寄せてくるから。一番リラックスできるのは一日の終わりで、キッチンにいて音楽を聴きながら、手にワイングラスをもっているときさ。

十代のころの自分は、えらくのんきで、かなり物静かなほうで、ホッケーをしながら学校に通っていたよ。

最後の晩餐? 何皿食べたいかって? まずは黒トリュフ入りのオムレツ、卵と同じぐらいの量のトリュフが入っていてほしいな。一緒に飲むワインはそうだな、ラヴノーのシャブリ、モンテ・ド・トネルがいい。もう一皿は、大きめのエビを三匹、パルマ産のプロシュートに包んでオーブンで焼いたもの。最高だよ!

もし生まれ変わるとしたら、ローデシアン・リッジバック種の犬になりたな。ただし、いい飼い主のもとでというのが条件だけれどね。動物愛護協会のためにずいぶんと犬の里親になっていて、家に歩いて帰るといつも子犬がたくさんいるんだ。お爺ちゃんになったようなもんでね、だから逆の立場にもなりたいと。

家族をもつと、一夜にして人生が変わるんだ。責任が大きくなるからね。自分の時間の使い方について、寛容にならないといけなくなる。

土壌こそが、テロワールの中で最も重要な要素で、というのも土壌を変えることはとても難しいからだ。もちろん、天候だって変えられないんだが、キャノピー・マネジメントや灌漑によって、気候の影響を調節することはできる。いい土壌の土地が手に入ったらそれまでで、あとはワインを造るだけだ。

(その3に続く)

2013年6月以前のコラムはこちらから