連載コラム Vol.315

2017ハーヴェストレポート その3(North Bay Wildfiresに関するご報告)

2017年10月13日号

Written by 黒川 信治

2017年のハーヴェストレポート第三弾は、緊急事態が続く北カリフォルニアの大火災についての、現地にいる大塚食品の醸造家 黒川信治からの報告である。

*******************

これまでに多くの皆様方より、カリフォルニア・ワイン産地の大火災に関して、沢山のお問い合わせ並びに安否確認を含むご心配等を賜り、誠に有難うございます。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。

メディアで報道されているように、現地時間10月8日(日)の深夜に発生した山火事が今も燃え続けています。

火災は、ナパのアトラス・ピーク(シルバラードの東の山間)、カリストガの北。ソノマのサンタローザなどの複数個所で発生しました。雨の少ないカリフォルニアでは、乾燥した木々は燃え広がりやすい環境にあり、そのような中、強風が伴ったこともあり、瞬く間に燃え広がり、被害が未曾有に拡大してしまったようです。

Ridgeは直接の被害を受けておりませんが、残念ながら家屋だけにとどまらず焼失してしまったワイナリーやホテルもあります。

10月12日現在、山火事の影響で、リットンスプリングス・ワイナリーがクローズしていたり、ガイザーヴィル周辺で避難勧告を受けていたりする社員もありますが、Ridge関連施設、社員等におきましては、全て無事であります。

続きまして、2017年の収穫に関してご報告させていただきます。

リットンスプリングス・ワイナリーでは、山火事の発生した前日の土曜日にパガニランチより最後のブドウを収穫。モンテベロ・ワイナリーでは、ソノマ地区の畑は早い時期に完了し、モンテベロの畑の収穫を残すだけとなっています。このモンテベロの畑に関しては大気中の煙が落ち着いた頃を見計らって収穫を進める予定です。9割近い収穫が終わっている事、並びに火元から100km以上離れている事もあり、現時点におきまして、この火事の影響はほとんどないと考えております。

死者の数も日に日に増えるばかりで、行方不明者が数百人規模となっていることもあり、目に見えていない被害が更に報告されていく悲惨な状況の中、耳にした悲しすぎるけど、是非伝えたい話を最後にさせていただきます。

現地を訪れた人の話では、延焼がブドウ畑で止まっているところが多く見られたと聞きました。乾燥した木々の中で数少ない水分を含むブドウの木が火災の延焼をブロックしてくれたようです。火災の影響で畑にブドウを残したまま収穫を断念したワイナリーもあるようですが、ワインに成れなかったが、延焼を止めるという大役を果たしてくれていたブドウに大いなる感謝とおしみない賛辞を贈りたいと思います。

そして、一日も早い鎮火を願うばかりです。

2017年10月12日
黒川信治

2013年6月以前のコラムはこちらから