連載コラム Vol.286

リッジの有機栽培への取り組み

2016年7月29日号

Written by デイヴィッド・ゲイツ

リッジにおいて、有機栽培の手法について実験を始めたのは、1990年代末から2000年代はじめにかけてのことである。試行錯誤を経ての2008年に、自社畑について有機栽培認証を獲得する方向で動き始めた。この目的を達成するには、国立有機栽培機構(National Organic Program)の定める栽培基準に沿って、3年間の耕作を行わなければならない。その定めるところによると、殺虫剤、肥料など畑に投入されるものは、すべて認定を受けた有機栽培用のものでなければならず、畑に投入したものはすべて記録を取らなければならない。 州への登録申請と、手数料の支払いも必要だ。認証を行う第三者機関と契約をし、毎年記録の調査と畑への立ち入り検査を通じて、国立有機栽培機構の基準を満たしていることを証明してもらうことも必須である。

2011年には、モンテベロの畑のうち76エーカーと、リットン・スプリングスならびにガイザーヴィルの畑のうち合計135エーカーが、有機栽培の認証を得られた。今年(2015年)の終わりまでには、モンテベロでさらに100エーカー以上、ソノマ郡の畑で207エーカーが認証を得る予定である。リットンの自社畑の東側にある40エーカーについては、2017年に有機栽培に転じる予定になっている。

2008年に方針を決めたとき、全部の畑の全部の区画を有機栽培にしようとは考えていなかった。何もかもいっぺんにやろうとすると、経営資源が圧迫されるし、果実の品質が低下するリスクも負うことになるからだ。慣行農法と比べて有機栽培は労働集約型であり、とりわけ除草作業についてそれが顕著である。今後、有機栽培に転換すべき畑は、面積はさほどでもないのだが、最も難易度の高いところが残っている。非常に急な斜面のため、鋤き起こしによる除草をすると表土流出の心配がある場所だ。幸い、新しく認定された有機栽培用の除草剤が、問題を解決してくれそうである。

すべてが予定通りに進めば、2018〜2020年には、すべての自社畑について認証を得ることができるだろう。

2015年4月
デイヴィッド・ゲイツ(栽培担当副社長)
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