連載コラム Vol.277

ミレニアル世代の台頭

2016年3月15日号

Written by 立花 峰夫

アメリカのワイン市場は今、大きく変わりつつある。ジャグワインと呼ばれる安価な国産品が売れなくなっている一方で、中〜高価格帯のワインが売上を伸ばしている。海外からの輸入ワインへの関心が高まっていて、なおかつ比較的マイナーな産地のワインが人気だ。こうした動きの背景に、若い世代のワイン購買力が増してきたことがある。

アメリカでは、国民の誕生年を15〜20年のスパンで区切り、それぞれの世代に名前をつけている。1946〜1964年に生まれた世代を「ベビーブーマー」、1965〜1980年の生まれが「ジェネレーションX」、1981〜2000年の生まれが「ミレニアル」だ(区切りの年は分類法によって多少前後する)。それぞれの世代は、人格形成期の社会環境が異なっているため、消費財の購買行動にも特有の性質があることが知られている。

いま、アメリカのワイン市場を動かす存在になっているのがミレニアル世代だ。アメリカのワイン業界団体Wine Market Councilが先日発表した調査結果によると、アメリカのワイン消費者のうち36%がミレニアル世代で、ベビーブーマー世代の消費者数(34%)を初めて上回った(ジェネレーションX世代は18%)。一度にワインを飲む量についても、ミレニアルが一番多く平均3.1グラスであり、ジェネレーションXは2.4グラス、ベビーブーマーは1.9グラスという値になっている。長い間、アメリカのワイン消費はベビーブーマーが支えてきたが、そのバトンは一世代飛び越してミレニアルへと渡ったことが鮮明になった。アメリカが現在、世界一のワイン消費市場であることを考えると、ミレニアルは世界中のワイン生産に最も大きな影響を及ぼすグループだと言ってよい。

ミレニアルのワイン消費には、いくつか顕著な特徴がある。この世代は、ワイン評論家の意見や、100点法で付けられたワインの点数を、上の世代のようにアテにしない。友人・知人の口コミやアドバイスのほうを信じる。その上で、これまで飲んだことのないワインにも積極的に手を出していく。別の調査では、ミレニアルのワイン消費者のうち85%が、月に2〜3回は初めての銘柄を試すと答えた。もっとも、まだ可処分所得がさほど高くない年代なので、比較的お値頃な産地、銘柄が多くなるものの、国産のジャグワインには手を出さない。ベビーブーマー世代に支持されてきたジャグワインは、若い世代にとって「年寄りの飲み物」なのだ。

ミレニアルは、幼い頃からインターネットなどのデジタルメディアに親しんできた。この属性と、友人・知人のアドバイスを重視するという上述の性質とを合わせて考えると、ソーシャルメディアを使ったアピールの重要性が浮かび上がってくる。アメリカのワイナリーは今、Facebook、Twitter、Instagram、Youtubeなどソーシャルメディアを使ったプロモーションに大変積極的で、リッジとてその例外ではない。ワイナリーからの情報発信を直接受けたい方は、ミレニアル世代でなくとも、ぜひ下記をフォローしていただきたい。

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