連載コラム Vol.276

モンテベロで2016ヴィンテージが始動!

2016年2月29日号

Written by Ridge Vineyards

写真(1) 全員集合! そんなふうにも見える右の写真だが、まさしく剪定をもって、次のヴィンテージが正式に始まることになる。今年1月、エルニーニョ現象がもたらす雨の合間に晴れた日が数日あったので、栽培チームは剪定作業を開始した。モンテベロのクライン農園にあるメルロの区画からで、2016ヴィンテージへの歩みが始まっている。
写真(2) 何のための剪定作業かって? 樹を剪定することによって、来たるヴィンテージのための樹冠(キャノピー)が形作られ、樹勢の管理も可能になるのだ。次ヴィンテージに品質の高い果実を得るうえで、鍵となる作業である。写真からわかるように、モンテベロの急斜面で剪定をするのは相当骨が折れる。
写真(3) 栽培チームにとって、畑はまさにジャングルなのだ! 13名からなるチームは時間ならびに大自然と戦いながら、全部で140エーカーあるモンテベロのブドウの枝を落とし、春の萌芽がうまくいくようにしている。
写真(4) リッジにおける前工業的ワイン造りは、まさにここ、ブドウ畑で始まるのだ。樹齢100年を超す、ジムソメア農園のジンファンデル(右の写真)を見れば、それがわかるだろう。区画ごとに仕立てが違うため、剪定方法も変ってくる。右の写真では、短梢を下の枝だけ残して切り落とすことで、ブドウ樹が高くなりすぎないようにしてやっている。この下の枝も、芽をふたつだけ残して先を切り落とし、短梢にする。この短梢から、2016年に実をつける2本の新梢が立ち上がるのである。
写真(5) 右の写真のメルロの樹では、アプローチが異なる。まだ樹齢が若く収量も高いので、ジンファンデルのように短梢剪定にするが、仕立てとしてはVSP(ヴァーティカル・シュート・ポジショニング)で、毎年更新されない2本の幹が左右に伸びた形になる。前年の剪定時の切り口に、白いペンキのようなものが塗られているのに注目されたい。これは、ブドウの幹を冒すユータイパという病から、枝が落とされた直後の切り口を守るためのテクニックである。ユータイパはカビ系の病害で、湿気によってその胞子が放出・拡散する。剪定から数日内、次の雨が降るまでに、新しい切り口も同様に保護されることになる。
写真(6) 右の写真では、剪定前と後の状態が対比できるだろう。手前側のブドウ樹では、2015年に育った枝が切り落とされているが、奥のほうの樹についてはまだ昨年の枝が生い茂っている。
写真(7) リッジの栽培哲学においては、持続可能性がとりわけ重要となる。剪定された枝は畑に残され、後に特注の刈払機で細かく刻まれる。刻まれた枝クズは時間をかけて土に同化し、土壌の構造をよくしてくれる。なお、切り落とされた枝がそのまま畑に残された場合は、害虫や病気の温床になることがある。
写真(8) 右の写真は、栽培担当者のカイル・テリオットと、ブラック・ジャーマン・シェパードのルビー。よく働いた一日のあとは、お楽しみの時間が待っているのだ!
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