連載コラム Vol.250

モンテベロの再植樹 最新情報 その1

2015年1月15日号

Written by デイヴィッド・ゲイツ

2007年にリッジは、かつてルーステン農園と呼ばれた畑の大部分について長期間のリース契約を結び、再びブドウを植えなおすことにした。その畑から、将来モンテベロやエステート・カベルネに用いられるワインが、生まれることを期待してのことである。

ルーステン家がこの美しい地所を格安で手に入れたのは、1901年か1902年のことである。大規模な山火事が起きた直後で、焼け残っていたのはわずかな本数のモミ、オーク、月桂樹だけであった。だが1906年の地震のすぐ後、一家の財産に変化が訪れる。所有地内の数箇所で、泉が魔法のように湧き出したのだ(1989年のロマ・プリータ地震のあと、リッジの土地にある井戸でも同じような現象が起きている)。一家はすぐにブドウを植え、果樹園を開き、ワイン製造業界に参入した。禁酒法の時代をどう乗り切ったのかは知る由もないが、一家のワイナリーは禁酒法撤廃後に操業を再開している。ワイン生産が終了したのは1950年代末のことで、唯一の相続人であったチャーリー・ルーステンが、次なる決断をした時であった。すなわち、アルコール・タバコ・火気局からの要求に屈服するよりも、ワインを廃棄するというものだ。私はチャーリー本人からそのように聞いている。

チャーリーが1991年にこの世を去ると、所有地はロイス・オートマンに引き継がれた。元学校教師で、熱心な馬術家としても知られる人物である。10年前にロイスは、自分の土地をブドウ畑にしたら素晴らしいのではないかと思いつき、我々もそこでよいブドウが育つと確信していた。2008年までに、第一弾の再植が行なわれており、カベルネ・ソーヴィニョンが3.9エーカー、カベルネ・フランが2.5エーカー、プティ・ヴェルドが1.2エーカー植えられた。
(次回に続く)
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