連載コラム Vol.248

果汁を搾る/プレスの作業とプレス・フラクション その3

2014年12月15日号

Written by エリック・ボーハー

(次回からの続き)
プレス作業が終わると、各発酵タンクからの全フラクションが、小さな区画に区切られた特殊なタンクに集められる。それから試飲が行なわれ、AランクまたはBランクという品質評定がなされる。あまりに荒々しいプレスワインだった場合には、Cランクとされることもある。ひとつにまとめられたフラクションは、それぞれ別の樽に移されて、そこで天然乳酸菌によるマロラクティック発酵が起きる。マロが終わったあと、プレスワインはロットごとに再度試飲され、同等の品質を持つ異なるフラクションをブレンドしてひとつにまとめていく。

こうした熟成の初期段階で、新鮮な卵白による清澄試験を行う。タンニンのテクスチュアを和らげるために、一樽あたりいくつ卵白を使えばよいかを決めるためである。非常にタンニンの強いヴィンテージでは、ワインを柔らかくするために3度、4度と清澄を重ねる必要があり、樽内での熟成も2年かそれ以上になる場合がある。何度清澄してもプレスワインが柔らかくなってくれないことも稀にあり、そうした場合はリッジで生産されるどのワインにもブレンドしない。その際の唯一の選択肢は、バルクワイン市場に出してしまうことだが、滅多にそうはならない。新鮮な卵白での清澄を十分に行い、辛抱強く樽熟成させてワインを和らげてやれば、頑強極まりないプレス・フラクションでも、通常は使えるように仕上げることができる。

リッジが初めてプレス・フラクションを分けるようになったのは、1997年のことである。最良のフラクションがモンテベロに加えられ、その品質を格段に高めてくれた。それ以来、毎年の経験が積み重なってきており、我々のアプローチは完璧に近づいている。

エリック・ボーハー
2014年5月
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