連載コラム Vol.247

果汁を搾る/プレスの作業とプレス・フラクション その2

2014年11月28日号

Written by エリック・ボーハー

(次回からの続き)
タンクから運んだ果皮をプレス機に入れて膜の上に置き、それから30分間静置するあいだに流れ出すのが、「プレス・フリーラン」(PFR)と呼ばれる2つめのフラクションである。このフラクションはかなり荒々しい味で、タンニンが全面に出ている。このロットは通常最終ブレンドに含められることはない。

そのあとプレス機が運転を開始するのだが、最初の半時間は0.25気圧で、膜が軽く膨らむ程度である。だがこの時に、プレスワインの中で最も量の多いフラクションが取れるのであって、「ファースト・スクイーズ」(一番搾り)と呼ばれる。ほぼ毎回、最も厳しい味となるこの3番目のフラクションにはボディが欠けていて、荒々しいタンニンが見られる。青臭い風味、酵母の風味がともに強いのが特徴である。このフラクションは常にフリーランのロットと分けて管理され、別の樽に入れて熟成させられる。

ファースト・スクイーズを搾り終わると、膜を膨らませる気圧が0.1気圧ずつ増していく。プレス1-1と、プレス1-2というロットは、0.3気圧から1気圧の間で得られるものである。ともに大変驚くべき味であり、フリーランに近いのだが、味の強さが勝っている。特にプレス1-2にその傾向が強い。大抵のヴィンテージでは、この二つを合わせてひとつのフラクションとし、「ファースト・プレス」と呼んでいる。さほどの量にはならないのだが、しばしばフリーランに加えられ、ボディ、豊潤さ、高品質なタンニンを増す役割を果たす。

プレスの工程の終盤、1気圧から2気圧の間で、最後の二つのロット、P2-1とP2-2が得られる。この段階でもまだかなり優しい圧しかかかっておらず、種が砕けることはないのだが、最後に残ったワインを搾りだすことができる。このロットには、ブドウの果皮に由来する強い香りと味――いわゆる「搾りかす」の風味が感じられることが多い。ファースト・プレス同様、ほとんどのヴィンテージにおいてP2-1とP2-2は合わさってひとつのフラクションとなり、「セカンド・プレス」と呼ばれる。このフラクションもまた、卓越した品質になりえるが、タンニンが強すぎることはない。通常このフラクションは、最上の品質のものがフリーランに加えられているし、時にはモンテベロのブレンド用試飲に含められることもある。
(次回に続く)
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