連載コラム Vol.231

モンテベロの歴史あるブドウ畑 その4

2014年3月14日号

Translated by 立花 峰夫

現在、モンテベロの自社畑となっている土地は、19世紀末から20世紀はじめにかけて開墾され、ワイン用のブドウが植えられた。その当時は所有者が四人いて、いずれも面白い人物であった。

●ルーステン農園 Rousten Ranch
 チャールズ・ルーステンが、モンテベロに75エーカーの土地を買ったのは、1903年のことである。その地所はクラインの土地のすぐ上方にあって、トーレ農園からは1マイル下ったところに位置している。ルーステンはブドウ樹を植え、BW180というワイナリーを建て、そこでワイン生産を行なっていた(BWはBonded Winery ≒「公的認可を受けたワイナリー」の略)。禁酒法の頃には、ほとんどのブドウ樹をプルーンに植え替えてしまったが、8エーカーだけはブドウ樹を残した。禁酒法撤廃後も、他界する1941年まで少量のワインを造り続け、この年に息子のチャーリーが地所を相続している。チャーリーは、1950年代のどこかまでワイナリーを経営していたのだが、連邦当局から課せられる書類仕事が増え続けるのにうんざりして、生産したワインにかかる連邦消費税の支払いをその頃拒否したことが知られている。連邦政府の役人の目の前で、ワインを全量地面にぶちまけたあと、役人をたたき出したのだという。残っていたブドウ樹も引き抜き、ワイナリーは閉鎖、その後はプルーン、畜牛、干草の生産に特化した。
 チャーリーが1990年にこの世を去ると、土地はロイス・オートマンに遺された。昼間は高校教師をしていたロイスは、その農園に乗馬施設を作って成功を収める。2007年、ロイスは37エーカーの土地について、リッジと長期貸借契約を結んだ。2008年からはブドウの植え付けが始まっている。

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