Written by 立花 峰夫
最良のカリフォルニア産カベルネが見事に熟成することは、「パリスの審判」のリマッチでも実証済みの事実である。2006年のリマッチで審査員を務めたジャンシスは、今回の試飲でもおおむね高い評価を与えている。液面が低く、揮発酸が発生していたボーリューの1965を除き、すべての銘柄が20点満点中17点以上の高得点であった。
注目の一位、二位は、またしてもリッジ・モンテベロ。1988年には19点。1981年には18.5点が与えられた。「天国のよう」「偉大なボトル」(1988年)、「間違いなく、この不遇なヴィンテージに造られた世界最高の赤ワインのひとつ」「ブラボー!」(1981年)といった、最上級の賛辞がコメントの中に散りばめられている。
ジャンシス・ロビンソンは、思えば昔からリッジの古酒が好きだった。彼女が1989年に出版した著作に、「Vintage Timecharts」というものがある。これは、世界最高のワインを約50銘柄選び、その熟成パターンを曲線グラフの形で予測するという風変わりな書物だった。リッジからは、モンテベロとガイザーヴィルの2銘柄が選ばれているのだが、この本に複数銘柄が含められたワイナリーは、世界中でリッジだけである。