連載コラム Vol.221

2013年ハーヴェストレポート その2

2013年10月4日号

Written by 黒川 信治

2013年のハーヴェストは佳境を迎えている。前回に引き続き、大塚食品の醸造家 黒川信治氏のレポートの第二弾をお届けする。

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9月21日から22日にかけて、モンテベロとリットンスプリングス共に雨が降った。幸い降水量は、モンテベロで12mm、リットンスプリングスで15mmと大した事は無かったが、雨でハーヴェストの流れが少し変わった。

ちなみに、この雨を降らせた低気圧は、9月16日に日本を襲った台風18号が太平洋を渡って北米まで来たという話である。

この最初の雨は、乾燥したブドウ畑には、まさに焼け石に水であり、大きな影響は無かった。その直後の9月29日の午後にリットンスプリングスワイナリーのあるソノマ地区に二度目の雨が降ったが、この時の降水量も1mmと、さらに少ないものであった。

ワイン造りは、自然との共存である。 2013年のフランスでは6月にピンポン玉大の雹が降り、収穫期を迎えても雨のため難しい状況にあると聞く。

雨は自然現象であり、それをどうこう言っても始まらないので、雨を受け入れた上で何が出来るかを考えるのが我々の仕事である。

そこで出した結論が、21日の雨に関しては、畑のブドウが乾燥するのを待って、理想的な状態にさせること。29日のソノマの雨がわかってからは、その時点で成熟しているブドウを雨の前に収穫すること。すなわち、数日続けてトラック2台を超えるブドウをクラッシュすることであった。(通常は、一日1台)

そして、二度目の雨に対しては大勢に大きな影響は無かったが、こちらも大事を取ってしばらくソノマ地区のブドウの収穫を待つこととした。これは、長期予報が、10月5日は気温が上がり、さらに10月いっぱい晴天が続くと言っている事に基づいている。

これまでのブドウは順調な仕上がりを見せている。残されたブドウもこの幸先の良い2013年の天候によって、理想的な熟成をしてくれると信じて疑わない。

2013年10月3日 黒川信治

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