Written by 立花 峰夫
リッジ・ヴィンヤーズの旗艦銘柄、モンテベロ赤のヴィンテージ 2000が、イギリス王室による国賓晩餐会の席で、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領夫妻に供された。これは大統領の英国訪問を祝し、国王チャールズ3世とカミラ王妃が、2025年9月17日にウィンザー城セントジョージホールで開いたディナーである。約160名が参加した。
米国大統領が主賓であるからには、ワインのラインナップの中に、アメリカ産が入ることは予想された。選ばれたのが、リッジのモンテベロ 2000だったのは、不思議ではない。リッジ&モンテベロのワインは、かなり早い時期からイギリスに輸入されていて、同国の評論家たちから絶大な支持を受け続けてきたからだ。イギリスは、長い歴史的経緯もあって、「ボルドーの植民地」とでもいうべき土地柄である。ボルドー赤に近いモンテベロのエレガントなスタイルと、長期熟成可能という「実績」が、今回の選定に影響したのは間違いないだろう。
モンテベロ 2000はまた、2006年に行なわれた「パリスの審判 30周年記念テイスティング」において、若いカリフォルニア産赤ワイン部門でトップをさらったヴィンテージでもある。2000は、モンテベロの中では比較的ソフトな年だが、それでも25年は軽々と熟成できる能力が、今回の晩餐会採用で証明された。
この晩餐会に登場した白ワインも、アメリカとゆかりの深い銘柄だった。フランス・ブルゴーニュ産の特級畑ワイン、コルトン・シャルルマーニュの2018年である。生産者ボノー・デュ・マルトレイは、地元のワイナリーだが、2017年以降はアメリカの富豪スタン・クロンケ氏が所有している。クロンケ氏は、イギリスの強豪プロサッカー・チーム「アーセナル FC」最大株主でもあり、カルト的な地位にあるカリフォルニアワイン「スクリーミング・イーグル」のオーナーでもある。
晩餐会で振る舞われた食事はフランス料理で、以下の三皿だった。