連載コラム Vol.373

モンテベロ・ワイナリー 醸造部 2023年の収穫について~~リッジのニュースレターより

2024年03月01日号

Written by トレスター・ゲティング

モンテベロ・ワイナリーでは毎年秋、近隣からも遠方からも多くの人々を呼び寄せて、ブドウの収穫作業を手伝ってもらっている。短期間にこなすべき仕事が膨大にあるから、良き協力者は必要であるのみならず、大いに感謝されるべき存在である。

これまでの20年以上にわたって、我々が大変に幸運だったのは、経験と知識を備えているだけでなく、プライドをもって家族同様に働いてくれる、ひとりの協力者がいたことだ。そう、黒川信治その人である。信治は、暮らす母国である日本からやってくる。日本での信治は、リッジの親会社である大塚製薬グループで勤務している。信治が初めてモンテベロの収穫作業を経験したのは、2000年のことである。それ以来、信治はポール・ドレーパー、ジョン・オルニー、デヴィッド・ゲイツらの傍らで働いてきた。現在の私は、つい最近終わったばかりの収穫作業において、信治とともに働く幸運に恵まれてところだ。私はすぐさま、信治には鋭い味覚と、品質への厳しい目が備わっていることがわかった。リッジが扱う畑の区画の数々を知悉していて、最終ブレンドのワインをイメージしながら、どのように個々の発酵を進めていくかがわかっている。信治はまた、発酵中のワインを味見しながら、色、風味、タンニンを完璧な水準まで引き出す術を知っている。私と醸造チームに手を貸してくれ、モノとヒトの動きが統べられた状態を保ってくれる。信治は、数多の異なるブドウ生育期間を通じ、モンテベロのワインが、品質とスタイルの両面で安定するのを助けてきてくれた。信治の働きと、瞠目すべき2023年のハーヴェストに、ここで乾杯しようではないか。

トレスター・ゲティング(モンテベロ・ワイナリー醸造責任者)

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