2007年は、雨の影響を避けながら小分けに収穫を行なったために、約35の区画から合計で60もの個別の発酵ロットが生まれた年である。そのあと、ファースト・アッセンブリッジまでに一部のロットが統合されて48に減り、そのうち1月末のファースト・アッセンブリッジの時点で安定していたものが36。この36の中から、合計で17の優れたロットが選ばれ、1月末の時点でブレンドされた。
5月のセカンド・アッセンブリッジにおいては、1月末の時点で安定していなかったため対象外となった12のロットを精査し、うち2がモンテベロ向けに選ばれている。加えて、現時点で「判断保留」となっているロットがあと2つあり、こちらも加えられることになると、2007年のモンテベロに選ばれるロット数は21。量にして合計5000ケース弱と、かなり生産量の多い年となる。品種の比率は、78パーセントがカベルネ・ソーヴィニヨン、12パーセントがメルロ、10パーセントがプティ・ヴェルドになりそうな見込みである。
二度のアッセンブリッジでモンテベロ用に選ばれなかったロットのワインは、セカンドワインである「サンタクルーズ・マウンテンズ」の候補となる。こうしたロット、必ずしも「劣っている」というわけではない。非常にバランスがよく、柔らかな果実味が心地良いワインも多いのだ。欠けているのは、長熟型ワインであるモンテベロに求められる、しっかりとした骨格などである。なお、モンテベロに選ばれなかったワインのすべてがサンタクルーズに含められるわけではない。サンタクルーズ・マウンテンについても、モンテベロと同様のアッセンブリッジ/選別が後日行なわれ、そこでも選ばれなかったワインはバルクで売却されてしまう。
複数の年を平均すると、40パーセント程度のワインがモンテベロ用に選ばれているが、これは収穫年の特徴に応じて変わってくる。25パーセントしか用いられないような年もあれば、65パーセントも使用されるような年もある。平均生産量は約4000ケースである。
ちなみに、一般的には「ブレンド」という言葉で呼ばれるこのプロセス、リッジではなぜアッセンブリッジとよぶ。ポール・ドレーパーによれば、「カリフォルニアでは、ブレンドという単語に悪い含みがあるから」というのがその理由である。曰く、いろんな畑のワインを混ぜるときに使う言葉が「ブレンド」。一方リッジが行なっているのは、「単独畑の個性を強めるためのプロセス」。だから「組み立てる=assemble」の派生語である「アッセンブリッジ=assemblige」という言葉を使うのだ、という話である。では、「単独畑の個性を強める」とはいかなることなのか。詳細は次回からのコラムを参照されたい。
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