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連載コラム Vol.95
モンテベロ 2007 アッセンブリッジ その1
  Written by 立花 峰夫  
 
 2008年5月6日、モンテベロ赤の2007年ヴィンテージについてのセカンド・アッセンブリッジが行なわれ、筆者も参加してきた。アッセンブリッジとはブレンドのこと。モンテベロの畑に植わるボルドー品種は、全部で約36の区画に分かれていて、当初は区画別に別々のワインとして仕込まれているため、それらを選別・混合するプロセスが必要になるのである。

 各区画に植わるブドウは、それぞれのタイミングで収穫、発酵を経たあと樽に入れられ、収穫翌年のアッセンブリッジまでは分けて管理される。アッセンブリッジは毎年二段階で行なわれ、最初のもの(ファースト・アッセンブリッジ)が例年1月末から2月初旬にかけて、二回目のもの(セカンド・アッセンブリッジ)が5月上旬の実施である。個別に管理されてきた区画別のワインのうち、どれがモンテベロに用いられ、どれがサンタ・クルーズ・マウンテンに用いられるかが、このアッセンブリッジで決められるのである。

 セカンド・アッセンブリッジが終わると、その年のモンテベロの品質と量がほぼ確定するのだが、2007年は、品質・量の両面で恵まれた素晴らしい年になった。昨年秋に発表したこちらのコラム、「ハーヴェスト・レポート 2007」に詳述しているように、相当な回数、量の雨に祟られたヴィンテージであるにもかかわらずである。風味の希釈、カビ発生による色やフレーバーの悪化といった雨の影響をある程度予測して今回筆者は望んだのだが、結果としてはまったく問題なし。収穫終了間際にやってきた30度を超すインディアン・サマー(小春日和、11月に夏のような気温になること)によって、一気にブドウが完熟したと聞かされていたのは本当だった。

 過去数年のモンテベロを振り返ると、「ちょうど10年前と同じスタイルになっている」のだとモンテベロワイナリーの醸造責任者、エリック・ボーハーは言う。2005のモンテベロは1995に、2006のモンテベロは1996に似ており、今回アッセンブリッジした2007も1997に似ているというのだ。たしかに1997も、質量ともに恵まれた年であった。熟した果実風味が豊富で、モンテベロにしてはアルコールが高めに仕上がった年でもあり、その点では2007が似ているわけではないが、品質の高さは同等レベルと言ってよい。

 さて、次回よりリッジのユニークな実践のひとつであるこのアッセンブリッジの手順について、数回にわけて詳述する。

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 立花 峰夫
 フリーのワインライター/翻訳者。
 2003年ヴィンテージには、リッジ・ヴィンヤーズの研修生
  として醸造を経験。