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連載コラム Vol.87
リッジのシャルドネ その1
ワイン・スペクテイターの年間トップ100で2位に!
  Written by 立花 峰夫  
 
 約35万部という世界最多の発行部数を誇るアメリカのワイン雑誌 ワイン・スペクテイターは、毎年年末になると「年間トップ100」という記事を発表する。これは、同誌が一年間に誌面で紹介した15000本以上のワインを、品質(=点数)、お買い得度(=品質と価格の兼ね合い)、入手の容易さ(=生産量)、「興奮度/熱さ」という4つの観点の総合で序列化したものである。

 さて、先日発表された今年のトップ100。リッジのシャルドネ・サンタ・クルーズ・マウンテンズ 2005が、堂々2位に輝いてくれた(1位はクロ・デ・パープのシャトーヌフ・デュ・パープ 2005)。同誌のカリフォルニアワイン担当テイスターであるジェームズ・ローブのコメントは次の通りである(初出:2007年5月)。「スパイシー、トースティ、スモーキーなオーク香が豊富に感じられたあと、リッチで生き生き、スムースで凝縮した洋梨、イチジク、メロンの風味が現われ、そしてまたトースティなオーク香へと戻る。素晴らしいバランス、深み、エレガンス、フィネスである。飲み頃は今から2011年まで。95点」。

 なお、この年のトップ10に選ばれたワインの点数は、95点から99点に分布し、10本中6本が95点であった。米国内での小売価格はリッジのシャルドネが一番安く、生産量はリッジが一番少ない(約2.4万本)。相対的な低価格に対する品質の高さ、そして「興奮度/熱さ」が評価されての2位ということになるだろうか。

 リッジといえば、どうしても「赤ワインのワイナリー」と思われがちだが、シャルドネの品質は毎年非常に高い。ブドウが植わるのは、ボルドー品種と同じモンテベロの畑で、標高430?580メートルに位置するわずか7.3ヘクタールの区画のみ(モンテベロの畑は全部で約48ヘクタール)。最高の樽を選んだトップキュヴェが「シャルドネ・モンテベロ」の名で瓶詰めされ、残りのロットが「シャルドネ・サンタ・クルーズ・マウンテンズ」となる。なお、「シャルドネ・モンテベロ」は毎年造られているわけではなく、近年だと2001年、2002年ヴィンテージには生産されなかった。生産量は、モンテベロとサンタ・クルーズ・マウンテンズを合計して1,000ケース?3,000ケース(12,000?36,000本)と年によって変動が大きい。リッジ全体の生産量が7?8万ケースであるから、全体の1?4パーセント程度ということになる。

 次回のコラムで、シャルドネのワイン造りについて詳しく紹介する。

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 立花 峰夫
 フリーのワインライター/翻訳者。
 2003年ヴィンテージには、リッジ・ヴィンヤーズの研修生
  として醸造を経験。