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連載コラム Vol.42
ZAPテイスティングがやってくる!
  Written by 立花 峰夫  
 
 一月末のサンフランシスコでは、毎年ジンファンデルのお祭りが開かれる。ZAP(Zinfandel Advocate & Producers)という団体が主催する、「ジンファンデル・テイスティング」のことである。サンフランシスコのフォート・メイソン・センターに、300以上のワイナリーがブースを出し、手塩にかけたジンファンデルのワインを披露する。このイベントは、今年で15回目を迎えた。業界関係者や報道関係者も多数訪れるものの、一番重要なゲストはといえば、やはりジンファンデルを愛する一般のワインファンであろう。今年のテイスティングは、1月28日(土)に開かれる。
http://www.zinfandel.org/festival/default.asp?cid=1&n1=11
 ZAPは、ジンファンデルの研究・普及・消費者教育などを目的とする非営利団体であり、1992年に22のワイナリーによりスタートした。リッジは当然創設ワイナリーの一つで、その後も重要な役割を果たしてきている。2002〜2003年には、リッジの社長ドン・リーセンが、ZAPの会長職をも務めた。なお、現在ZAPに加盟するワイナリー数は、300を越えている。
 テイスティング会場には、毎年独特の熱気が立ち込める。リッジなど人気のあるワイナリーのブース前には人だかりができ、グラスを片手に携えたジン・ファンたちが熱心に説明を聞いている。会場の各所に置かれたチーズなどをつまみながら、談笑しつつジンファンデルを楽しむ人々も多い。造り手たちも、ワインを楽しむ愛好家たちも、眼差しは明るく、口元には微笑が浮かんでいる。同じ「愛情」をシェアしているという、幸福な一体感。こういうテイスティングは、他になかなかないように思う。
 ジンファンデルは、カベルネやピノのように「高貴な」品種ではない。シリアスなワインも造れるが、基本的には「愛嬌」で人々から支持されてきた葡萄である。勝とうが負けようが、熱狂的な支持を受ける野球チームにも似たポジションに、アメリカのジンファンデルはあるように思う。その愛を生で感じてみたければ、是非一度会場に足を運んでみてほしい。
 なお、今年の7月には、ZAP主催の国際シンポジウムも予定されている。2002年の第一回から四年ぶりの開催である。まだ詳細なプログラムは発表されていないが、2002年の時は生産者の講演、学術研究者の発表、テイスティングセミナーなど盛りだくさんの内容で、大いに盛り上がった様子である。このシンポジウム、その名を「ジンポジウム Zinposium」と言う。
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 立花 峰夫
 フリーのワインライター/翻訳者。
 2003年ヴィンテージには、リッジ・ヴィンヤーズの研修生として醸造を経験。