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連載コラム Vol.39
2005 ハーヴェスト・レポート No.3
  Written by 立花 峰夫  
 
 今年のハーヴェストは9月3日に始まり、11月2日にすべてが完了した。最後に運び込まれた葡萄は、11月1日に摘まれたパガニ・ランチのジンファンデル(および補助品種)と、1日、2日の両日で摘まれたモンテベロのカベルネ数区画であった。
 10月29日には、毎年行われるハーヴェスト・パーティーがモンテベロ・ワイナリーで開かれ、2005年の収穫完了が前祝いされている。過去2年、雨の中でのパーティが続いていたが、今年は快晴。従業員やその家族、関係者が多数招待され、ふるまい酒と料理に舌鼓を打った。
 収穫の完了と前後するようにして、ジンファンデルのアッセンブリッジ(ブレンド)が開始されている。熟した果実味がありながらも、酸も高く骨格があるというのが今年のスタイルで、評価の高い97年を彷彿させるワインが生まれそうだ。ジンファンデルについては豊作の年で、リットン・スプリングスワイナリーの仕込み量は、昨年の1.5倍弱にもなっている。ガイザーヴィルも、リットンほどではないが昨年よりは増えており、質と量を兼ね備えたヴィンテージとなってくれそうである。なお、すべての品種を含めたリッジ全体の収穫量は、この年過去最大の約1500トンとなった。
 モンテベロの赤は、現在マロラクティック発酵の最中である。一部のロットについては樽入れが開始されているという。最初のアッセンブリッジは、年明けとなる。量については例年よりも少し少なめである。ナパ・ヴァレーでは例年よりも2〜3週間も収穫が遅れた年となったが、モンテベロは平年並みのスケジュールであった。
 モンテベロの畑は、山の標高に応じて三つのブロックに分けられるが、今年は一番高い畑(アッパー)と真ん中の畑(ミドル)の出来が相対的に良い。アッセンブリッジ前なのでまだ流動的ではあるが、モンテベロとセカンド・ワインのサンタ・クルーズ・マウンテンが、同量程度になりそうな見込みである(各2500〜3500ケース)。モンテベロに選ばれそうな区画のワインには、濃厚でしっかりとした風味が見られている。アルコール度数は13〜13.5%程度になるという予想。比較的酸の量が多いのも、今年の特徴である。モンテベロ・ワイナリーのプロダクション・マネージャー、エリック・バウアーによれば、2005年のモンテベロ赤は、「95年のストラクチャーに、96年のタンニンを備えたもの」になりそうだとのこと。95年はその堅牢さがずば抜けていた年、96年はタンニンのサイズが90年代最大だった年だ。アッセンブリッジを経て、実際にどんなワインが姿を現わすのか、今から非常に楽しみである。
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 立花 峰夫
 フリーのワインライター/翻訳者。
 2003年ヴィンテージには、リッジ・ヴィンヤーズの研修生として醸造を経験。