Archives
連載コラム Vol.37
2005 ハーヴェスト・レポート No.2
  Written by 立花 峰夫  
 
 モンテベロのボルドー品種の収穫が、クライマックスに来ている。シャルドネ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドの摘み取りはすべて終了し、残りはメルロの一部とカベルネを残すのみ。ジンファンデルについては、毎年最も収穫が遅くなるパガニ・ランチを除き、すべて終了している。本コラム執筆時(10月26日)の見込みとしては、ボルドー品種の残り、パガニのジンともに、11月の第一週のうちに完了しそうとのこと。
 ジンファンデルの品質についてエリック・バウアー(モンテベロ・ワイナリーのプロダクション・マネージャー)は、「1997年に似た、葡萄畑の個性がはっきりと出たヴィンテージ」になったと、大満足のコメントを発表している。熱波によって葡萄の熟度が急上昇することがなかったため、今年のジンファンデルはアルコールが高すぎることがなく、しっかりしたタンニンとフレーバーを備えたバランスのよいワインに仕上がっているという。シラーの品質も、今年は非常に高い。収穫量は、ジンファンデル、プティ・シラー、シラーは昨年の2割増し、シャルドネやボルドー品種は昨年並である。
 ボルドー品種の品質については、まだ最終判断が可能な時期ではないものの、かなりの期待ができる状況ではある。例年よりも小粒の葡萄は、糖も酸も十分に備えたバランスのよいものになった。10月15日前後には暑い日が何日か続いたが、満月の夜となった18日から気温が下がり、成熟の最終フェーズはゆっくりと進んでいる模様。
 今年の収穫から、35年間クラッシュ・ステーションの番人を務めたセラー・クルーの長老、ユーラリオの姿がない(過去のコラム、『さよならユーラリオ』参照)。破砕・除梗を行うクラッシュ・ステーションは、ピークの時期には連日深夜までの作業が続く過酷な持ち場なのだが、ユーラリオの抜けた穴を、大塚食品の黒川信治氏、アシスタント・ワインメーカーのデヴィッドが埋めている。人がたとえ変わっても、リッジのワイン造りのエッセンスが変わることはない。
Archives
 立花 峰夫
 フリーのワインライター/翻訳者。
 2003年ヴィンテージには、リッジ・ヴィンヤーズの研修生として醸造を経験。