Archives
連載コラム Vol.34
ジンファンデルの栽培について その6
  アメリカ醸造栽培学会におけるデヴィッド・ゲイツの講演より(1997年6月30日)  
 
クローン/セレクション:私たちは現在、畑で選抜した五種類のジンファンデルのセレクション(クローン)を用いています。いずれも禁酒法前の畑のもので、自根かあるいはセント・ジョージの台木に接木されています。まずは、お気に入りの畑を長年観察して、ウィルスの罹患状況や収量について観察しました。そのあと、個別に優れた樹を選び出して印を付け、穂木をとってウィルスをチェックします。そこから繁殖された穂木を台木に接木して、畑に植えるのです。こうして植えられた新しい樹々についてもウィルスの状況を確認し、それがまた繁殖に回されます。こうした選抜プロセスには相当なリスクがありますが、穂木を採取した古い畑は特に優れたワインを産する能力あるとわかっていますので、リスクを背負う価値があると考えたのです。私たちはできる限りの予防措置を講じて、生産性が高く寿命の長い葡萄畑を生み出そうとしています。問題の生じる樹もある程度は必ず出てきますし、台木と穂木(セレクション)の相性を良好なものにするという宿題も済ませねばなりません。
 さて、リッジが繁殖している5種のジンファンデルのクローンについて、ここで簡単に特徴をお知らせしましょう。

1)ピケッティ:サンタクルーズ山脈のモンテ・ベロ・リッジの畑で採取されたものです。房が小さく、酸は高くなりやすいもので、ソノマに植えたときでもそれは変わりません。

2)メンドシーノ:アンダーソン・ヴァレーの丘陵を見下ろすデュプラットという畑から採取されたものです。一九七一年にリッジはこの畑からワインを造っているのですが、そのワインがとても印象的だったので、自分たちの新しい畑に植える穂木として使ったのです。こちらも房が小さく酸が高くなります。

3)ハーツ・デザイア:ガイザーヴィルの近くのトレンタデューの畑にある、樹齢一一七年の葡萄樹から採取されたものです。畑は、アレキサンダー・ヴァレーの西端にある丘の麓に隣接しています。房は大きめで、果実風味が充実しているのが特徴です。

4)リットン・エステート:ヒールスバーグにあるチキータ・ローズの畑と、リットン・スプリングスの自社畑の古木から採取したものです。こちらも房は大きめですが、ただし粒がまばらに付いていて、パチンコ玉のような小さな粒が多くなります。これは私たちにとっては好ましい特徴なのです。

5)ワイン・クリーク:ドライ・クリークの北、ブラッドフォード山に残っていた古い葡萄畑から採取したものです。中の上程度の大きさの房を持ち、充実した果実風味があります。

 話を終えるまえに、ジンファンデルにブレンドしている他の品種について触れなければならないでしょう。プティ・シラー、カリニャン、グルナッシュ、マタロ(ムールヴェドル)、アリカンテといった品種は、私たちのジンファンデル・ワインにおける重要な構成要素です。私たちが扱う古木の畑において、こうした品種の大半が各々のブロックに混植され、収穫も一度に行われるというのは、例外ではなくむしろ通常のことなのです(他にも、プティ・ブーシェ、タナ、サンソー、パロミノ、ユニ・ブランといった品種が混じることもあります)。現在取り組んでいる新植の畑では、こうした葡萄を別々の区画として栽培しており、古い(混植の)畑のブレンド比率を再現したものに近づけようとしています。
 本日はご静聴ありがとうございました。
Archives
 デヴィッド・ゲイツ
 リッジ・ヴィンヤーズ副社長、栽培責任者