Archives
連載コラム Vol.213

最近のリッジの紹介記事
ザ・ウォール・ストリート・ジャーナル 2013年3月22日号

  Written by 立花 峰夫  
 
  2013年3月、リッジについて深く紹介する秀逸な記事が、米英の主力ワインメディアにそれぞれ掲載された。その二つめは、日刊新聞として米国一の発行部数を誇る経済・金融紙、『The Wall Street Journal ザ・ウォール・ストリート・ジャーナル』 3月22日号。ジェイ・マキナニー氏のワインコラムである。
マキナニー氏は、アメリカ現代小説の旗手の一人で、『ブライト・ライツ・ビッグ・シティ』などの作品で知られている。筋金入りのワイン愛好家としても高名で、この10年ほどは素晴らしいワインコラムも旺盛に執筆してきた。マキナニー氏は現在、ザ・ウォール・ストリート・ジャーナルに定期的に寄稿しており、この度リッジとポール・ドレーパーを大きく取り上げてくれている。
 マキナニーの記事は、リッジの沿革、ドレーパーの人となりや哲学、モンテベロのテロワール、ワイン造りのポリシー、「パリスの審判」での歴史的勝利などを、小説家らしい優雅な筆致でまとめたものである。ここでは、彼がリッジのジンファンデルについて紹介する一節を引用しておこう(以下引用)。

  カベルネを30〜40年も熟成させる忍耐力がない人には、複雑だが若いうちから楽しめるリッジのジンファンデルがお勧めだ。創業者たちが、山麓に植えられていた古木からジンファンデルのワインを造り始めたのは、打ち捨てられていた畑に樹を植え直す間のキャッシュフロー対策としてだった。だが程なく、創業者たちはカリフォルニア全土に古いブドウ畑を探し求めるようになる。そうした中にソノマ郡のリットン・スプリングスも含まれていて、最終的にはリッジが所有者からこの畑を買い取った。リッジは、力強くスパイシーな赤ワインを造ることにより、殆ど独力でこの品種の名声を復活させている。後年になると、ジンファンデルのワインもしっかりと熟成することがわかった。火曜日のダニエルの会で出された、1997年のガイザーヴィルにはフレッシュな果実風味が溢れんばかりであった。アレキサンダー・ヴァレーの西端にある、古いブドウ畑のワインである。一貫して感じられるリッジのハウス・スタイルとは、ジャムっぽさやアルコール度数が控えめなこと。一部の造り手によって90年代に人気となった、果実味とエネルギーが満タンのワインに比べてである。リッジのジンファンデルは、どれも生命力に溢れ人好きのする味わいなのだ。ガイザーヴィルとリットン・スプリングスは、今や崇拝の対象となるアメリカ産ワインとなっている(リットン・スプリングスは、ドライ・クリーク・ヴァレーにある1904年植樹の畑から造られている)。だが同時に、ジーンズを履いて楽しめるワインでもある。ジーンズの種類は、リーバイスが好ましいだろう(訳注: リーバイスはサンフランシスコ発祥のブランド)。(引用終わり)

  この度日本でも新発売となったジンファンデル、パソ・ロブレス 2011についても、マキナニー氏は“ケース買い”を進める推薦コメントを記してくれた(以下)。

●2011 リッジ・パソ・ロブレス・ジンファンデル
  大人にとってのフルート・ループス(訳注:フルーツ味のシリアルの商標名)。熟度が高く艶々としたこのジンファンデルは、古木の植わるベニート・ドゥージー農園産で、今すぐ飲んで美しい。次のバーベキューに備えて1ケース買おう。(引用おわり)

Archives