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連載コラム Vol.208

ジンファンデル2010 その1

  Written by デイヴィッド・ゲイツ  
 
 ブドウ畑での作業とは、季節ごとの繰り返しである。剪定、除草、病害の防除、整枝作業、収量調整、頻繁なサンプリング、収穫、休眠……この反復なのだ。

 何が面白いのかというと(何故私が正気を保てるかというと)、我々のダンスには終わりがないこと――それぞれの年・生育期間ごとに、果てしないバリエーションが存在するということである。自分たちのブドウ畑でも、そこから出来るワインでも、我々はバランスを得ようとひたむきになっている。自社畑においては、絶えず作業内容を調整したり、進歩させたりしているのだ。その目的とは、ブドウ果実が偉大なワインになる可能性を、常に最大にすることである。母なる自然は、我々が気を緩める暇など与えてくれない。2010年ほど、そのことを思い知らされた年はないだろう(我々だけでなく、ノース・コースト地区でジンファンデルを育てる栽培家全員が、である)。

 ブドウ樹のバランスを保つとは、言うは易いが行うのは難い――微妙な判断が必要となる。バランスのとれたブドウ樹とは、果実が熟するのに必要十分な葉をつけているが、過度のストレスを受けていない状態を指す。中には、毎年放っておいてもほとんどの樹がバランスのとれた状態になるような区画もある。リットンの自社畑なら、ウェスト36の区画(1953年植樹)や古木の区画(1902年、1910年に植樹)などがそうだ。だが、若い樹はどれもこれも、自分が熟されられる量以上の果実をつけようとしがちである。こうした若木の区画では、いつも摘房が必要で、年によっては実ったブドウの半分もの量を落とすことがある。気温が高く雨の少ない年には、ブドウ樹が葉を多めに茂らせるようにしてやる。逆に雨が多く気温の低い年には、若枝や葉の間引きにかなりの時間を使って、ブドウ樹がよりよいバランスに至るようにしている。 (次回に続く)

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デイヴィッド・ゲイツ
 リッジ・ヴィンヤーズ 栽培担当副社長