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連載コラム Vol.203

ヒストリック・ヴィンヤーズ・ソサエティ その1

  Written by デイヴィッド・ゲイツ  
 
 リッジではもう50年にわたり、カリフォルニアの古く歴史的価値のあるブドウ畑でワインを造ってきている。古木はワインに強靭さをもたらしてくれるからであり、我々は長年のあいだに、卓越したいくつもの畑で仕事をするという特権に恵まれてきた。

 4人いたリッジの創設者のうちの1人であるデイヴィッド・ベニオンは、1962年から1968年にかけて醸造責任者を務め、6つの古木の畑からワインを造った。モンテベロに植わるカベルネとシャルドネ(1949年植樹)、ガイザーヴィル、パソ・ロブレス、ジムソメア、ピケッティなどの畑である。1969年以降は、ポール・ドレーパーがこうした畑でのワイン造りを続け、さらに約50もの畑を試してきている。リッジでは、時間と費用をかけて枯れた樹を植え直しており、自ら管理する古い畑をできる限り多く保全しようとしている。この努力は、そうした畑から生まれたワインの品の高さによって、十分すぎるほど報われてきた。

 2010年の終わり、他にもいた古木マニアの人々が話をしにやって来て、歴史あるブドウ畑を認定、保全、宣伝するために何かしようということになった。そこで創設されたのが、ヒストリック・ヴィンヤード・ソサエティ(略称HVS/歴史的ブドウ畑保存協会)という非営利組織である。カリフォルニアの歴史あるブドウ畑の保全を目的としていて、具体的な活動は、貴重だが数が減りつつある宝物のような畑が、どれほど特別なものかをワイン消費者に伝えることである。
http://historicvineyardsociety.org/
熱心な古木ワイン収集家のマイク・ディルディーニの提唱によって始まった組織で、他の創設メンバーにマイク・オフィサー(カーライル・ヴィンヤーズ)、ティーガン・パッサラックア(ターリー・ワイン・セラーズ)、モーガン・トゥエイン=ピーターソン(ベッドロック・ヴィンヤーズ)、ジャンシス・ロビンソン(ワインライター/評論家)、そして私がいる。
(次回に続く)



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  デイヴィッド・ゲイツ
リッジ・ヴィンヤーズ 栽培担当副社長