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連載コラム Vol.201

ジンファンデルは偉大なワインか? その1

  Written by デヴィッド・アマディア  
 
 2012年のZAP(注: 毎年1月末〜2月初旬にサンフランシスコで行われる、ジンファンデルに特化した大試飲会)には、ジンファンデルの熱狂的マニアが5,000人以上集まり、数百種類のワインを試飲しながら素晴らしい一時を過ごした。ジンファンデルの造り手たちは、どうやら正しい方向に進んでいるようであり、この品種の忠実なファンを大きく増やしてきている。だが、ジンファンデルの造り手たちが生み出しているものを、果たして「偉大なワイン」と呼べるだろうか?

 先日私は、20種類のボルドーワインを比較試飲する会に参加した。ロバート・パーカーが香港で開催したものである。試飲を大いに満喫したのは間違いないところだし、パーカー氏自身の印象もよかった。情熱的で知識があり、なによりも好人物なのだ。テイスティングの冒頭でパーカー氏は、偉大なワインを定義づけるさまざまな性質を、リストの形で聴衆に提供した。

@ 快楽主義的な面と、知的な面の両方で人を満足させる
A 風味に深さと強さがあるが、重々しくはない
B 飲み手を飽きさせず、二杯目のグラスに手が伸びる
C 瓶熟成によって味が向上し、より複雑になる
D 他のワインと区別できる、明確な個性を備えている

 とてもよくできたリストだと思う。ただし、後からよくよく考えていると、パーカーのリストには重要な項目が二つ抜けているようにも思われる。すなわち次の二項目である。

E そのワインが生まれた、土地の個性を反映している
F 工業的な加工や添加物を加えずに、生産されている。

 このリストが設けるハードルは高い。この地球で生産されるワインの95%か、それ以上が除外されてしまうのだから。偉大なワインの数はとても少ない。さて、ここで次の問いが生まれる。上記の基準に基づいて考えるなら、ジンファンデルから偉大なワインを造るのは不可能なのだろうか? (次回に続く)



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 デヴィッド・アマディア
 リッジ・ヴィンヤーズ 販売・マーケティング部門副社長