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連載コラム Vol.196

シャルドネの高い評価(最近の雑誌記事より)

  Written by 立花 峰夫  
 
 数回前のコラムで、リッジのシャルドネは生産量が少なく(5%以下)、評判がいいのにすぐ売り切れて困るという話を書いた。世間での名声はますます高まっているようであり、品薄傾向にはさらに拍車がかかりそうだ。最近アメリカの雑誌に出た、二つの記事を紹介しよう。

 ひとつめは、ご存じ米国『ワイン・スペクテイター』誌の本年7月号。「カリフォルニアで最良のシャルドネ トップ生産者30」という特集記事において、リッジが選ばれている。同誌のカリフォルニア担当ライター/テイスターであるジェームズ・ローブによるコメントは以下の通り。

 「サンタ・クルーズ山脈中にある標高の高い畑から、リッジがカベルネとシャルドネの両方で優れたワインを造っているということは、稀に見る偉業と言えるだろう。モンテベロ・シャルドネは大変に滑らかで豊潤、時に豪華絢爛とも表現できるスタイルのワインである。全房圧搾ののち樽発酵で仕込まれており、冷涼な気候と石灰岩の下層土がその味には反映されている。カベルネ同様、熟成はアメリカン・オーク樽。1969年以来醸造責任者を務めるポール・ドレーパーがヴィジョンと方向性を指し示し、実際にワインを造るのはエリック・ボーハーである」

 もうひとつは、つい最近出たばかりの米国『ワイン&スピリッツ』誌秋号。「非凡なる大地」というタイトルのもと、世界中から100カ所の偉大なテロワールを選ぶという興味深い特集が組まれている。そこに、モンテベロの畑はカベルネ・ブレンド、シャルドネの双方で選出されているのだ。以下、シャルドネに関する記述を訳出する。

 「シャルドネは、シャブリに見られるキンメリッジ階(キンメリジャン)の石灰岩土壌で成功を収めているブドウである。昔は海底だった場所に、今はブドウが植わっているのだ。新世界のワイン産地には、シャブリの土壌と似たような場所はほとんどないが、リッジはそのうちのひとつを発見した。サンタ・クルーズ山脈中、かつて海底だった石灰岩が、大陸プレートの衝突によって太平洋から700メートルの高さまで持ち上げられた土地。そこに植えられたシャルドネは、カリフォルニアの海岸から吹いてくる冷たい風を受けつつ、根が石灰岩の割れ目に沿って伸び、水分と栄養分を求める。この土壌は、熟したホワイト・チェリー、レモン、森の下生え、潮風、蜂蜜などからなる複雑な風味を、ワインにもたらしている」

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 立花 峰夫
 フリーのワインライター/翻訳者。
 2003年ヴィンテージには、リッジ・ヴィンヤーズの研修生
  として醸造を経験。