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連載コラム Vol.190

モンテベロのブドウ樹植え替え

  Written by 立花 峰夫  
 
 5月中旬、ひさしぶりにモンテベロ・ワイナリーを訪問すると、ワイナリーに隣接する畑の区画のひとつ、「ゲート・ブロック」のブドウがなくなっていた。地上から10センチほどの高さのところで、幹がすっぱりと切られており、切り株が縦横等間隔で並ぶ空き地になっている。

 現在、約40の区画に分かれるモンテベロの自社畑で、もっとも古いのは1949年植樹のブドウ樹である。樹齢60年超。しかし、中にはもっと若い年齢で植え換えられる区画もある。先述のゲート・ブロックもそうである。10年に1回か、それ以下の頻度でしかモンテベロの赤に選ばれなかったら、植え換えの検討を始めるというのがひとつの基準。クローン、台木、植樹間隔など諸要素の、何かが土地にあってないと考えられるのだ。それ以外にも植え替えを考える要素には、病気による収量減少といった要素もある。ちなみにゲート・ブロックは、過去10年間では2010年に一度モンテベロに選ばれたのみだった。

 樹を切り倒したあとは、ブルドーザーで根の部分を掘り起こす。引き抜き作業が完了してもすぐに新しい樹は植えず、数年間は土地を休ませる。





 ゲート・ブロックは、ワイナリーの正門(ゲート)を入ってすぐ左手にある区画。ここが更地になっている光景には違和感を覚えるが、予定では6年先には新しい苗木が植わる。その苗木が最初に実をつけるようになるまで2、3年、成木になるにはさらに10年程度はかかる。ブドウ造り、ワイン造りは、とにかくタイムスパンの長い仕事である。

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 立花 峰夫
 フリーのワインライター/翻訳者。
 2003年ヴィンテージには、リッジ・ヴィンヤーズの研修生
  として醸造を経験。