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連載コラム Vol.171

モンテベロの新しい区画名について

  Written by 立花 峰夫  
 
 リッジの本拠地の畑、モンテベロ。山の尾根に沿って広がる畑は、標高の異なる四つのブロックに分かれている。もともとは三つで、標高の高いところから「アッパー・ヴィンヤード」(上部の畑)、「ミドル・ヴィンヤード」(中部の畑)、「ロウアー・ヴィンヤード」(下部の畑)と呼ばれていた。ここに、近年開墾された「ルーステン」の畑が加わったことを機に、先日以前からある三つの畑が改名された。以下、それぞれの畑の新しい名前とその由来などを、リッジの本国版ウェブサイトから翻訳掲載しよう。

● KLEIN クライン
 「ロウアー・ヴィンヤード」または「ジムソメア・ランチ」の名でも呼ばれる畑。リッジは、クライン・ヴィンヤードで1960年代初頭からワインを造っている。この場所に最初にブドウを植えたのは、アルザス出身のピエール・クラインという人物で、サンフランシスコでレストランを経営していた。彼の造るボルドー品種のワインは名高く、1890年のパリ万博で金メダルを受賞している。

● ROUSTEN ルーステン
 ルーステンは、モンテベロにおける一番新しい畑である。この畑内の区画はすべて2008年と2010年に植樹された。その名はチャーリー・ルーステンにちなんでおり、1960年代までこの場所でブドウを育て、ワイナリーを営んでいた人物である。モンテベロの他の自社畑と同じく土壌は独特のもので、緑の石と粘土の地層が、風化した石灰岩の上に載っている。

● TORRE トーレ
 かつてのトーレ・ワイナリーがあった場所で、1959年から1969年まで、初期のリッジのワインはそこで仕込まれた。今日では、以前ワイナリーだった建物をテイスティング・ルームとして使用している。トーレの土地は、リッジの創設者たちが最初に購入したもので、モンテベロの初ヴィンテージである1959年にはここのブドウが使われている。1949年に、神学者のウィリアム・ショートが植えたカベルネ・ソーヴィニョンである。

● PERRONE ペローネ
 サンフランシスコ出身の医師、オセア・ペローネがこの土地を1885年に買った。石灰岩で出来た丘に、石造りのワイナリーを建て、ブドウを植樹。7年後の1892年に、モンテベロと名づけたワイナリーの初ヴィンテージが仕込まれた。今日でも、ペローネが125年以上前に建てた、古い石造りのセラーが使われている。モンテベロの自社畑で最も高い位置にあり、頂上は標高2700フィート(約820メートル)近い。北西方向を見やれば、まっすぐ15キロ先に太平洋を望める。モンテベロの自社畑は、サンタ・クルーズ・マウンテンズ AVAに属していて、そこはカリフォルニアでカベルネが栽培される最も冷涼な地域である。



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 立花 峰夫
 フリーのワインライター/翻訳者。
 2003年ヴィンテージには、リッジ・ヴィンヤーズの研修生
  として醸造を経験。