カベルネを待ちながら…
9月20日から10月3日までの約2週間、収穫の様子を知ろうとリッジのモンテ・ベロ・ワイナリーに滞在したのだが、なんと一粒の葡萄も見ることなく日本に戻ることになってしまった…。ツイてない。
前回のコラムでもあったように、今年の収穫開始は歴史的な早さ(8月17日)だったのだが、ジンファンデル、シャルドネと波が続いたあと、メルロやカベルネが熟するまでに収穫の端境期が生じたのだ。9月28日にメルロとカベルネがごく少量、収穫・破砕されているが(筆者はこの日リットン・スプリングス・ワイナリーに出かけていた!!)、それを除けば丸二週間収穫がなかった。これだけ間が空くのはさすがに珍しい。ちなみに、リットン・スプリングスでは9月15日に最後のタンクのプレスが終わったそうだが、昨年のリットンではこの日に収穫が始まっている。
訪問前に、気温の高い7、8月でジンファンデルが一気に熟したと聞いていたから、(糖分の成熟に)フレーヴァーの成熟がついていっていないという事態を心配していたのだが、試飲した限りでは杞憂のようであった。今年は、ジンファンデルのマセレーション期間をこれまでより長くしているのが醸造の特徴。そのせいか、早い段階で「味わいのまとまり」を感じる。ポール・ドレーパーも、「良いジンファンデルの年」になりそうと嬉しそうだった。
ボルドー品種についてはまだ何とも言えない段階ではあるが、かなり期待できそうな兆候は見える。ひとつは成熟スピードが終盤にきてゆっくりになったこと。暑い夏の日々のあと9月15日頃から急激に冷え込んだせいで、糖分の急激な上昇が押さえられ、フレーヴァーがゆっくりと熟れていっている(そのせいで私は収穫のチャンスを逃したが…)。
現地からの連絡によると、10月4日からの週でメルロ、プティ・ヴェルド、カベルネ・ソーヴィニョンが合計6ブロック収穫されている。糖度はいずれも24度前後で、ポールは「典型的なモンテ・ベロ」の糖度とコメントしたという。
カベルネ・ソーヴィニョンの大多数のブロックは、10月4日の週にはまだ糖度21-22度で、もう少し時間が必要な様子である。今年のシーズンがいつ終わるのか、現段階ではまだ予想がつかないが、もしかすると「最も早い」記録だけでなく、「最も長い」記録をも塗り替えることになるかもしれない。
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