Archives
連載コラム Vol.118
ソノマにおける品種の混植 その1
  Written by デヴィッド・ゲイツ  
 
 リッジはジンファンデルを造り続けて45年になり、その間、数多くの古木の畑で仕事をするという幸運に恵まれてきた。貴重な遺産であるそうしたブドウ樹は、19世紀後半から20世紀前半に植えられたもので、ほぼ必ず別の品種が混ざっている(もちろん、ジンファンデルが大多数を占めてはいるのだが)。プティット・シラーとカリニャンは、こうした混植の区画において、ジンファンデルを補助する伝統品種である。この二品種は特に、ジンファンデルの口あたりと風味を補強してくれるようだ。カリニャンは果実味を快活なものにし、酸味とエレガンスを強めてくれる。プティット・シラーは、中盤の味わいをふくらませ、色を濃くし、余韻を長くする。しかしながら、古い混植のブドウ畑に足を踏み入れると、グルナッシュ、マタロ、アリカンテ・ブーシェも見つかるのが常だし、ほかの品種もぱらぱらと目に入るだろう。なぜ、こんなふうに植えられているのだろう。理屈はいろいろあるのだが、なによりも混植の区画から造られたワインの品質が、その訳を物語ってくれている。

 古いブドウ畑はそれぞれの場所に応じて、異なる品種のミックスになっているようだ。我らがリットン・スプリングス・ワイナリーの前方に広がるベンチ状の畑では、おおよそ85%がジンファンデル、5%がプティット・シラー、5%がカリニャン、残り5%がほかの品種である。リットン・スプリングスの丘陵においては、ジンファンデルが頂上部分のほとんどを占め、斜面はプティット・シラーとグルナッシュ、麓が混植となっている。ガイザーヴィルの「オールド・パッチ」の区画は、1882年植樹という我々が耕作するなかでは最も古いもので、おおよそ60%がジンファンデル、18%がカリニャン、12%がプティット・シラー、残り10%がほかの品種である。ドライ・クリーク・ヴァレー、アレクサンダー・ヴァレーの両地区では、渓谷南部の冷涼な地域にある古いジンファンデルの混植畑で、プティット・シラーの植え付けが多めになっている。これは、この地域のジンファンデルについて、味わいに深みを補強する必要があるからかもしれない。北部の温暖な地域では、酸味の補強が必要になるため、カリニャンの比率が高くなっている。つまるところ、一目見たときの印象のように、ランダムに植えられているわけではなさそ、なのだ。

Archives
  デヴィッド・ゲイツ
 リッジ・ヴィンヤーズ副社長/栽培責任者