モンテベロの畑は、標高に応じて大きく三つに区分されている。一番高い山頂付近の畑がアッパー、その下がミドル、そして山の中腹にある畑がローワー・ヴィンヤードと呼ばれる畑である。一番下部にあるローワー・ヴィンヤードは、別名ジムソメア・ランチといい、リッジがリースで管理している畑である。ローワー(下の)といっても、標高は430から610メートルの間とかなり高い。カベルネ・ソーヴィニョン、メルロといったボルドー品種だけでなく、シャルドネ、ジンファンデルの畑があるのがジムソメア・ランチの特徴である。
ここは全部で500エーカーもある広大な農園で、リッジは創立間もない頃からジムソメアのブドウを買っていた。農園自体が開かれたのは19世紀末のことで、フランス・アルザス地方出身のピエール・クラインという人物が最初の所有者である。その後、約70年間サンフランシスコのシュワーバハ家の持ち物になったが、1996年にリッジが30年間という長期のリース契約を結び、自社畑と同様の管理をするようになった。
ジムソメア・ランチのジンは、この品種から造られるワインの中で最も個性的なもののひとつだろう。おそらく、アメリカで最も高い場所で栽培されているジンファンデルで、強い酸が特徴的。そのスタイルは、ブラインド・テイスティングでも容易に識別できるのだと、リッジの総帥ポール・ドレーパーは言う。ただ、6.3エーカー(約2.5ヘクタール)しか作付面積がないため、年間生産量はわずか5000〜6000本、アメリカ国外への輸出は残念ながらなされていない。
高い樹齢も、ジムソメア・ジンの個性に大きく寄与している。畑の大半、5エーカーを占めているのは、1900年に植えられた古木である(残りの1.3エーカーは1996年の植樹)。当然ながら灌漑なしで栽培されており、収量はエーカーあたり1トン(ヘクタールあたり20〜25ヘクトリットル)にも満たない低い水準。しかしそのぶん果実が凝縮するのだ。リッジが始めてこの畑のジンをワインにしたのは、1968年のことである。
次回からは、リッジ発行のニュースレターにかつて掲載された、ジムソメア・ジンの解説文を訳出する。
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