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連載コラム Vol.109
2008 ポール・ドレーパー40年目のヴィンテージ その2
  Written by 立花 峰夫  
 
 前回に引き続き、ポール・ドレーパーの40年目のヴィンテージ(2008)を祝う、著名人のコメントを紹介していこう。今回は、トーマス・ケラー、ランドール・グラム、ロバート・パーカーからのものである。

◆トーマス・ケラー
 米国一の呼び声も高い、カリフォルニア州ナパ・ヴァレーのフランス料理店「フレンチ・ランドリー」(ミシュラン三ツ星)のオーナー・シェフ。

「私がポールに対して抱く敬意は、そびえ立つほど高いものだ。もし自分が醸造家なら、ポール・ドレーパーその人でありたいと、常々語ってきたほどなのだから。彼は、そのワインの試飲能力において、純粋さを体言する人物である。そして、世界で最も優れた醸造家のひとりなのだ!」


◆ランドール・グラム
 サンタ・クルーズに本拠地を置く奇抜でユニークなワイナリー、ボニー・ドゥーン・ヴィンヤードの創始者・総帥。過激な言動・行動で知られるが、ワイン造りの哲学をめぐる屈指の論客のひとりでもある。

「ポールは、カリフォルニアの醸造家の中で、私がもっとも敬意を払う人物である。なによりも好きなのは、彼がワインに関するあらゆる事柄について、優雅さ、知的さに向かっていこうとする点だ。ヤマを張って一発を狙うようなことはせず、知識と知恵を積み上げ、融合させていく。辛抱強く不屈の精神で、システマティックに己の畑のテロワールを見いだし、明るみにだしていく。それはあらゆる醸造家にとって、もっとも高貴な志なのだ。ポール万歳!」


◆ロバート・パーカー
 世界で最も強い影響力を持つワイン評論家で、「神の舌を持つ男」の異名をとる。百点法でワインを採点することで知られ、彼が誉めたワインは値段が急騰する。ワイン評論誌『ワイン・アドヴォケイト』を年六回刊行。主著に『ボルドー』『ブルゴーニュ』『ローヌワイン』など。

「ポール・ドレーパーはワインの世界に、なによりも大切なものを遺してくれた。40年以上にわたって続く完璧な品質、そして偉大なブドウ畑への敬意である」


 次回は、スティーヴン・スパリュア、ジェームズ・ローブ、ジェイ・マキナニー、セレナ・サトクリフの各人が登場する。

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 立花 峰夫
 フリーのワインライター/翻訳者。
 2003年ヴィンテージには、リッジ・ヴィンヤーズの研修生
  として醸造を経験。