ガイザーヴィル Geyserville

アレキサンダー・ヴァレーの自社畑

初ヴィンテージの1966年以来、ガイザーヴィルのワインは毎年毎年、他に類を見ないほど安定した個性を示してきた。土地の個性がなにより際立っているところに、持続可能な農法への取り組みが組み合わさった結果だと我々は考えている。持続可能な手法で土地に働きかけるとは、ブドウ畑全体の環境に配慮することであり、具体的には総合防除(IPM)、カヴァークロップ、堆肥の使用、手収穫などの技術があげられる。できる限り優しい方法でブドウを育てているからこそ、どの年にもこの畑が持つ特異で際立った個性を、ワインの中にもたらすことができるのである。

リッジが育てる最も樹齢の高いブドウ

ガイザーヴィルの畑には、我々が育てるブドウの中で最も古い樹が植わっている。「オールド・パッチ」(古木の区画)と呼ばれる畑の一角であり、中には樹齢130年を超すものまである。古木の果実は、ワインに強烈な風味と複雑性をもたらしてくれるのだが、これは他のどんな方法でも真似ができないものだ。リッジでは醸造においても自然なアプローチを採ることで、この極めて古い樹の個性が正しく現れるようにしている。ワイン造りに際して化学薬品は用いないし、メンブラン濾過や殺菌処理も行わない。こうしたテクニックを使うと、ワインから色、風味が奪われ、口あたりが損なわれてしまうからだ。我々が採用するのは非工業的な醸造アプローチであり、天然酵母のみで発酵させることなどがそれにあたる。そのおかげで、ワインの強靭さ、複雑性、個性が保たれるのだ。

伝統的な畑でのブレンド

ガイザーヴィルの畑では、伝統的な混植によって、ジンファンデルに他の補助品種が畑でブレンドされている。補助品種とは、カリニャン、ペティト・シラー、マタロ(ムールヴェドル)である。どの年もユニークで際立っていて、並外れてもいるのだが・・・・・・それでいて毎年共通の要素が見られる。たとえば真っ黒なブラックチェリー、熟れたプラム、芳醇なチェリー、杉の風味などがそうだ。ガイザーヴィルとは、目を見張るほど品質の安定したエレガントなワインであり、風味が何層にも折り重なっている。特有の風味は、カリニャンのブレンド比率が比較的高いためのようだ。リッジが造るほとんどのジンファンデルにブレンドされるペティト・シラーも含まれるが、カリニャンのほうが多い。ガイザーヴィルは、リッジが造るワインの中でも一番長寿なもののひとつで、10年以上の熟成を経ても美しい姿を見せるのが普通である。

完璧な場所

日中の気温は高い場所で、これは果実の成熟にとって理想的なのだが、よく夕方に吹くそよ風と時折畑を覆う朝霧が、ブドウ樹に休息を与えてくれてもいる。表土は深さのある砂利まじりのローム土壌で、河川由来の大きな石が含まれている。大昔には、この場所を川が流れていたため、石が堆積しているのである。この土と石の組み合わせは、水はけがいいだけでなく、必要なときに土が熱を蓄えられることも意味し、結果としてワインには際立ったミネラルの風味が見られる。こうした特長に、ガイザーヴィルの町から南に5キロという立地(アレキサンダー・ヴァレーの西端)が重なって、ジンファンデルおよびその補助品種にとって完璧な条件が揃うのである。

1966年以来の偉大なワインの地

ガイザーヴィルの歴史は、トレンタデュー家に触れずには語れない。そもそも、リッジの創立者たちにモンテベロ・ワイナリーを売ったのが、レオとイヴリンのトレンタデュー夫妻であったのだ。そのつながりから創立者たちは、ソノマ郡ガイザーヴィルの町の南端にあるトレンタデュー家の畑から、一番古い樹のブドウを買ったのだ。かくして、リッジによるガイザーヴィルの初ヴィンテージが生まれることとなった。トレンタデュー家との親密な関係は、今日まで続いている。リッジでは、単一畑産ジンファンデルとしてのガイザーヴィルのワインを、1966年以来毎年生産し続けてきている。