イースト・ベンチ East Bench

リッジの最も新しい畑

ヒールズバーグの町の北、ドライ・クリーク・ヴァレー最東端にあるテラス状台地に位置する。リッジの最も新しい畑であり、ジンファンデルを育てる上で理想的な条件がここには揃っている。我々がこの畑で働いた年数はまだ少ないものの、畑自体は長いブドウ栽培の歴史を有する。最初に植えられたブドウ樹は、1900年代前半に打ち捨てられてしまった。だがこの30年の間は、毎年ブドウの植え替えがなされてきており、今では元々ブドウが植わっていた頃よりも広い面積になっている。リッジの造るイースト・ベンチのワインで用いられているのは、我々が2000年と2001年に植えた樹の果実である。

血統よきブドウ樹

我々がイースト・ベンチのブドウ樹を植え替えした際には、特別に選んだ穂木を使った。この穂木は、禁酒法以前からあった四つの畑から採取したもので、卓越した品質と血統の良さで選ばれている。ガイザーヴィルやリットン・スプリングスといった我々の畑に植わるジンファンデル同様、イースト・ベンチのブドウ樹も株仕立ての短梢剪定である。40年以上もの経験を通じ、この方法でジンファンデルを育ててやるのが一番だと、我々は学んできたのだ。そうすれば、比類なき複雑性と風味の深みを備えた、高品質なワインが毎年できるのである。

太古の土壌から生まれる新しいワイン

このテラス状台地にあるブドウ畑の土壌は、約8000万年前に形成されたものだ。クレイローム(埴壌土)に、ここを大昔に流れていた川の石が混じるもので、鉄分を多く含み赤い色をしている。よく風化した厚みのある表土で、ブドウ栽培には理想的、とりわけジンファンデルに向いている。テラス状台地すべてが同じ土質、同じ気候であり、ブドウの樹齢がもっと上がれば、畑由来の際立った個性が一層現れてくるだろう。

その土地らしさを備えたジンファンデル

イースト・ベンチは、ドライ・クリーク産ジンファンデルのお手本のようなワインで、この原産地呼称の目印とでも言うべきチェリー風味と土っぽいスパイス香が備わっている。この土地独自の個性がワインに現れるように、アルコール発酵は天然酵母だけを用いて区画ごとに行っている。マロラクティック発酵の完了後に、最も力強く際立った味わいのロットだけを選んで、最終ブレンドとする。自然かつ非介入主義的な醸造アプローチを採ることによって、ブドウ畑がグラスの中で、その真の個性を表現できるようにしてやるのだ。

引き継がれる伝統

2006年が、リッジによるイースト・ベンチの初ヴィンテージである。太古の土壌と安定した気候をもつこの並外れた畑は、今後長きにわたって、模範的で際立った個性を持つジンファンデルを生んでくれるだろう。非の打ち所のない安定した品質を持ち、土地の個性を現す単一畑のジンファンデルを造ること――イースト・ベンチにも、リッジが育んできたこの伝統は引き継がれている。