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連載コラム Vol.30
ジンファンデルの栽培について その2
  アメリカ醸造栽培学会におけるデヴィッド・ゲイツの講演より(1997年6月30日)  
 
 気候や立地条件について考慮することが、いつでも良い出発点となるでしょう。私たちがこよなく愛する、リッチでジャムのような果実味をジンファンデルがまとうようになるためには、比較的温かい地域でこの葡萄を栽培してやる必要があります。カベルネ・ソーヴィニョンやメルロに比べて、ジンファンデルは暑さに強い品種です。酸が保たれるためには夜温の下がることが求められますが、(たとえばロシアン・リヴァー地区の標高の低いエリアなどで見られるように)秋の畑にしつこく濃い霧が居座ると、成熟が遅れ、房にカビ病が発生することがあります。
 大雑把に言いますと、カリフォルニアで最も涼しい地域を除き、ジンファンデルの栽培はどこでも可能です。栽培地域の積算温度で考えるなら、下は2300度日(リージョン2)から、上は4000度日(リージョン4)までといったところでしょうか。私たちが葡萄を育てているソノマの畑の平均を言いますと、3150か3200ぐらいになります。サクラメント・デルタ、シエラ・フットヒルズ、パソ・ロブレスといった温かい地域では、収穫される果実の酸は低くなり、結果としてできあがるワインは果実味が豊富、熟成スピードの早い若飲みタイプとなるでしょう。サンタ・クルーズ山脈やアンダーソン・ヴァレーといった冷涼な地区でとれる葡萄からは、例外的なスタイルのジンファンデルのワイン、すなわち酸が高く、キビキビとした独特の果実味があり、長期熟成が可能なものが出来上がります(もちろん、若いうちに飲んでしまわなければという話ですが)。私たちのソノマの畑はといえば、この二つのスタイルの中間にある丁度よいもので、強靭でリッチ、早くから楽しめますが、熟成も可能という優れたジンファンデルなのです。
 台地のエリアや、(すでに干上がってしまった河の)砂利の多い河川敷、河川底地のエリアが望ましいと私たちは考えています。台地のエリアの風化した痩せた土壌では、ジンファンデルの樹のバランスが取りやすのです。深く、肥沃な土壌でこの品種を育てると樹勢が強くなりすぎ、カビ害や未熟果の問題が生じたり、全般に果実味のリッチさが失われたりします。ほかのたいていの品種と同じく、ジンファンデルはさまざまな土壌タイプにうまく適合する品種です。私たちの畑でも、65パーセントが粘土の土壌から、85パーセントが砂利の土壌まで、実にさまざま。ガイザーヴィルの畑の土壌はほとんど純粋な砂利ですが、それでもジンファンデルは非常によく育ってくれています。(続く)
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 デヴィッド・ゲイツ
 リッジ・ヴィンヤーズ副社長、栽培責任者