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連載コラム Vol.206

いにしえの植樹パターン解読 その1

  Written by デイヴィッド・アマディア  
 
 1901年に植樹されたリットン東部の各区画は、典型的な「黒品種混植」の畑から成っている。この樹齢111年の古木は、リットン・スプリングスという単一畑名を冠したワイン(リッジによる初ヴィンテージは1972年)における、最重要原料を生む。1880年代から禁酒法が始まる1919年までの時代、複数品種をゴタ混ぜに植えて黒品種混植の畑にすることは、北カリフォルニアでは一般的な手法だった。ジンファンデルが主要品種で、そこにペティト・シラー、カリニャン、アリカンテ・ブーシェ、マタロ(ムールヴェドル)ほかの黒ブドウ品種が混ぜられるというのが、典型的な構成である。

 2011年の10月、ソノマの畑を管理するリッジの栽培担当者ウィル・トーマスが、黒品種混植区画の一部について調査を行い、どこにどの品種が植わっているかを地図にした(別図)。結果は実に興味深いもので、黒品種混植に関する長年の定説が一部覆ることになった。

 こうした混植の畑においては、まったく不規則な植え付けがなされていて、様々な品種を地面に植える際に従うべき何らかのルールがあるわけではない、というのがこれまでの定説だった。しかし、ウィルがリットンにある三区画に植わる4,749本を調査し、座標地図を描き起こしたところ、ひとつのパターンが見つかったのだ。

 ごくシンプルなパターンである。タンチュリエ品種(果肉も果汁も赤色をしているブドウ)が、四畝ごと、畝内では四本ごと、つまり四角形を作るように植わっているというもの。以下の地図上に赤色の丸で示されているのが、グラン・ノワールという果汁まで赤い、アリカンテ・ブーシェに似た品種である(このブドウは、リットン東部の畑で1%以下の比率しかない)。 (次回に続く)


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リットン東部「黒品種混植」区画(1901年植樹)の品種マップ
リットン東部「黒品種混植」区画(1901年植樹)の品種マップ
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デイヴィッド・アマディア
 リッジ・ヴィンヤーズ 販売・マーケティング部門副社長