引き続き、2010年3月に行われた創設50周年記念の回顧テイスティングについてお伝えする。イベントの第二夜に行われたのは、ジンファンデルにおけるリッジのフラッグシップであるガイザーヴィルとリットン・スプリングスの、ダブル・ヴァーティカル・テイスティング。2000年代から1970年代まで遡るライブラリーワインの中から、最高のヴィンテージを選び、二つのワインを同一または同年代のヴィンテージで比べるという趣向であった。
2000年代で選ばれたのは、2005年と2001年で、ヴィンテージを揃えて両銘柄が出された。1990年代で選ばれたのが1999年、1997年で、こちらも同一ヴィンテージでの両銘柄の比較。1980年代については、ガイザーヴィルが1988年で、リットン・スプリングスが1987年。1970年代については、ガイザーヴィルが1976年で、リットン・スプリングスが1973年であった。
テイスティングはブラインドで行われ、参加者は年代ごとにペアになったワインを利き、どちらがガイザーヴィルでどちらがリットン・スプリングスかを推定せよと求められた。それぞれの年代で、両銘柄の特徴――ガイザーヴィルはしなやかでエレガント、リットン・スプリングスは雄々しく逞しい――が顕著に感じられる非常に印象深い試飲で、品種構成とテロワールに由来する一貫したスタイルを改めて認識する好機となった。
今回はまず、2000年代から選ばれた4種のワインのコメントをお届けする。
●Geyserville 2005
まとまりがあってエレガントな香り。豊富な赤系のフルーツ。少し土っぽいニュアンス。わずかに夏の森を思わせるグリーン系の香り。ミンティ。スワリングをすると、ウェットストーンと甘いオークのニュアンス。
口中にしなやかな果実味が広がる。少しスパイシー。流麗で強めの酸。スマートなスタイル。長い余韻。
●Lytton Springs 2005
全体にスパイシーな印象。甘く凝縮した果実香が力強い。赤系と黒系のフルーツのミックス。ガイザーヴィルと同じ夏の森の香りはするが、さほど強くない。スワリングすると甘いオークが顔を出す。
凝縮感の強い味わいで、ジンファンデルとして異例なほどタニックでストラクチャーがある。果実味よりもタンニンの骨格が勝る力強い仕上がり。男性的で典型的なリットン・スプリングス。
●Geyserville 2001
熟成のニュアンスが見られる香り。枯葉、紅茶、ドライ・アプリコット、ドライトマトなど。ミネラルの香りも顕著。
味わいにはまだしっかりとしたタンニンが感じられる。酸はさほど強くないが、しなやかで流線型のスタイル。まだまだ楽しめる味わい。
●Lytton Springs 2001
ガイザーヴィルよりも若々しい香り。フレッシュな黒系フルーツとスパイスの強いアロマ。凝縮した果実香。ブラックオリーブ。白檀や複数のドライハーブが織り成す複雑な香り。
力強いタンニンのストラクチャー。酸はマイルド。先のある強い味わいで、フィニッシュも長い。
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